自筆証書遺言保管制度とは|手続き内容とメリット・デメリットを徹底解説
更新日:2022年10月22日

自筆証書遺言を法務局にて保管してくれる制度が創設されました。
遺言書を作ったものの「どこに保管すればよいか」「家族はちゃんと見つけてくれるか」など不安を感じている人は多いはずです。
しかしながら自筆証書遺言保管制度を理解し、上手く利用すれば、これらの不安を解消する遺言書を用意することが出来ます。
この記事では、自筆証遺言書保管制度の内容やメリット・デメリット、留意すべきポイントについて詳しく解説いたします。
自筆証書遺言保管制度とは|法務局で遺言書を保管してくれる制度
自筆証書遺言でできること
法務局で適正に保管・管理される
家庭裁判所における検認手続きが不要
相続人が遺言書を閲覧・証明書の交付を受けられる
相続人に遺言書が保管されていることを通知する
「自筆証書遺言保管制度」とは、法務局が遺言書を預かってくれる制度です。
遺言書をどこに保管するかは、誰もが悩むところ。
内容を知られたくないため、自身だけが知っている場所に保管しておく人も多いようです。
そのため作成しても発見されないことや、内容を偽造されてしまうこともあります。
結果として遺言書の内容が実現されないこともありました。
法務局という安全な場所に保管し、遺言書の内容を確実に実現させることを目的に創設されたのが「自筆証書遺言保管制度」です。
自筆証書遺言保管制度のメリット・デメリット
自筆証書遺言保管制度のメリットとデメリットは以下の通りです。
自筆証書遺言保管制度のメリット
遺言書が発見されないリスクを抑えられる
遺言書の破棄・偽造リスクを抑えられる
公正証書遺言に比べ手数料を安くできる
検認手続きが不要であるため相続手続き負担を軽減できる
自筆証書遺言保管制度のデメリット
遺言書の有効性は担保されない
利用申請のため手続きが煩雑
メリット・デメリットの双方を比較し「自筆証書遺言保管制度」を上手く活用しましょう。
自筆証書遺言保管制度のメリット
自筆証書遺言保管制度を利用すれば「遺言が発見されない」「相続人に偽造・破棄される」というリスクを防げます。また公正証書遺言に比べ、作成にかかる手数料が安いという点も大きなメリットのひとつです。
さらに自筆証書遺言保管制度を利用すれば、検認手続きも不要となるので、相続人の手続きの負担を軽減できます。
自筆証書遺言保管制度はこれまで負担となっていたところを解消してくれます。
自筆証書遺言保管制度のデメリット
自筆証書遺言保管制度における最大のデメリットは、遺言書の有効性まで担保されないところにあります。
法務局では、遺言書の内容や行為能力の有無を確認しません。
そのため相続人同士で揉める原因となる遺言書を作ってしまうこともあります。
より確実に安全な遺言書を作成したいなら専門家に相談することがおすすめです。
仮に遺言者の判断能力に問題があり、意思判断能力が争われる可能性がある場合には、公正証書遺言書の作成をおすすめします。
どの遺言書を作成すると良いかは個別具体的な事情によって変わります。
遺言書作成を検討される場合は、まず専門家に相談してみてはいかがでしょう。
自筆証書遺言保管制度の利用手順を確認
「自筆証書遺言保管制度」を利用するには、遺言者本人が法務局へ行く必要があります。
代理人による申請や郵送による手続きは認められていません。
入院しているなどの理由で本人が法務局に行くことができない場合は、公正証書遺言の作成を検討することをおすすめします。
自筆証書遺言を保管してくれる法務局|保管できる法務局は決められている
自筆証書遺言書を保管してくれる『法務局』は、以下の通りです。
遺言者の住所地を管轄する法務局
遺言者が所有する不動産の所在地を管轄する法務局
遺言者の本籍地を管轄する法務局
自筆証書遺言保管制度利用申請の流れ
自筆証書遺言保管制度利用申請の流れは以下の通りです。
申請書の作成方法などの詳細は、法務省ホームページに詳しく記載されています。
必要書類|保管申請にかかる手数料は3900円
利用申請のために必要な書類は以下の通りです。
自筆証書遺言(ホッチキス止めおよび封緘せず持参)
申請書
住民票の写し(3か月以内、本籍記載のあるもの)
本人確認書類(顔写真付き身分証明書)
保管手数料(3900円:遺言書1通につき)
利用申請にかかる手数料は、遺言書1通あたり3,900円です。
予約していても、必要書類に漏れがあると手続きできないため、事前にしっかり準備しておきましょう。
自筆証書遺言保管制度利用申請後にできること|遺言書はいつでも変更できる
遺言者が利用申請後できることは以下の通りです。
預けた遺言書の閲覧の請求
保管の申請の撤回
遺言者の住所・氏名等の変更
利用申請した後も遺言書を変更することは可能です。
いつでも変更できるので、まずは現時点で最もよいと考える遺言書を作成しましょう。
自筆証書遺言保管制度における留意点|法務局は遺言書の内容を確認してくれない
遺言書の保管制度は、自筆証書遺言の要件は確認してくれますが、遺言書の内容や意思判断能力の有無については確認してくれません。
自筆証書遺言保管制度を利用したい場合には、専門家に相談をした上で、内容に問題がないか確認しましょう。相続人のことを考え作成した遺言書が揉め事の原因とならないよう事前にチェックすることが重要です。
齋藤久誠 公認会計士・税理士事務所では安心して遺言書作成を行える「遺言書作成サポート」を用意しております。ぜひ一度ご覧ください。
まとめ
自筆証書遺言保管制度は、これまで自筆証書遺言が抱えていた課題の解決を目指した有効な制度です。保管場所が明確になることで、発見されないことや偽造されるリスクを抑えることができます。
しかしながらこの制度は出来たばかりの新しい制度です。申請書の作成や必要書類の収集など、一般の方には慣れない手続きがほとんどです。
法務局へ行っても、書類が不足しているなど一度で申請できないことも考えられます。
慣れない手続きを確実に行うためにも、専門家に相談し、手続きをサポートしてもらってはいかがでしょう。
また制度を利用する場合であっても、遺言書の内容を法務局がチェックしてくれる訳ではありません。中には作成した遺言書が原因で、相続人がもめてしまうこともあります。
遺言書を作るなら、税務面や法務面をしっかりチェックしてくれる専門家に相談をし、相続人が困らないものを作成するよう心がけましょう。
齋藤久誠公認会計士・税理士事務所は、自筆証書遺言の作成を一からサポートいたします。最もよい遺言書は人それぞれです。これまで200件以上の遺言書作成に携わった専門家が、どのような遺言を作れば最もよいか、しっかりとヒアリングをした上で、様々な角度からアドバイスをいたします。